二日目の朝も快晴でした。
あんなに夜遅くまで飲んでしゃべっていたのに、
明け方にトイレに目覚めてしまうお年頃です。
でもおかげで、素敵な朝の光を見られました。
広縁からは茂った緑とその先の青い海が
朝日にキラキラと照らされている景色が見えます。
もう少し遅くまで寝ていようかと思っていましたが、
同室の皆がそれぞれ置きだしたので、早速朝の温泉へ。
今朝はこちらが女子用のお風呂になっていたので、
爽やかな朝の空気と光と緑と海を満喫しながらの入浴です。
まあ、いろいろとざっくりなところはありますが、
なにはともあれ自然がそこらへんをのざっくりを
おおらかに掬いとってくれてます。
建築家、自然に頼り過ぎでない?って思わなくもないけど、
ここは素直に、気持ちがいい!
一度上がってテラスでぼうっと海を眺めていたら、
またちょっと身体が冷えてきたので再び温泉へ。
朝ご飯の前に2回もお風呂に入って存分に満喫しました。
朝食が9時半からでまだ時間があまっていたのでラウンジへ。
こちらでは、エスプレッソ珈琲やハーブティーなどが
自由に飲めるようになっています。
暖房も効いていたのですが、窓からの日当りがよいお部屋で中はポカポカ。
お茶をのみながらまたうつらうつらと
日だまりのなかで居眠りをしていました。
そしてようやく朝食!
朝のお風呂効果もあり、ご飯が進みます。
鯵の干物、出汁巻きたまご、出汁豆腐の他、
珍味三種盛りなど、白米と一緒に頂くと美味しいおかずばかり。
しかもごはんが自動的に出てくるシアワセ〜。
レイトチェクアウトで12時まで滞在できたので、
食後もゆっくりと部屋で過ごすことができて、
十分すぎるほどに宿での滞在を満喫しました。
お玄関の設えも、要所要所に活けられたお花も素敵でした。
チェックアウトを済ませて宿を出てからは、
もう一つの見所、
群青色が鮮やかな麒麟の間。
この二間続きの座敷の周りは、
手作り感が素敵な大正ガラスがはめ込まれた建具と
畳敷きの廊下に囲まれています。
廊下の外には広大な日本庭園が。
今は敷地の向こうに建つ、
非常に残念な外観の建物に興ざめさせられてしまいますが、
その昔にはこの庭園を眺めながら、
さぞかしゆったりとした優美な時間が流れていたのではないでしょうか。
隣に建っているのは洋館「玉姫」という建物。
こちらは、建築やデザインに非常に造詣の深かった根津嘉一郎氏により、
増築された建物だそうです。
「麒麟の間」の上階には、私好みの紫色が美しい「大鳳」というお座敷。
床の間の落としがけなど、
細かいところのデザインが非常に洒落ています。
柔らかなカーブを描いた先端などが綺麗で、
この紫色の壁の色もとても美しい色でした。
華やかな襖紙や障子の華奢な桟も相まって、
モダンで今見ても魅力あふれる室内になっています。
渡り廊下を渡って、隣の建物の玉姫の間に併設されたサンルームへ。
ステンンドガラスの天井が鮮やかな光を落とし込んでいます。
床のカラフルなモザイクタイルも、置いてある家具も、
また建具の意匠なども大変凝ったものでした。
こちらは玉渓の間。
名栗仕上げなどがあちこちに施された一見チューダー様式の室内に、
よく見ると様々な様式の装飾が混じっていて、
すごく独特の個性豊かな室内になっていました。
窓の横のステンドグラスも綺麗です。
床の素材も各部屋で違っていて、
それぞれの素材に凝った装飾が施されていました。
ぐるりと回って、こちらは和館の孔雀の間。
先の麒麟の間などと同様、三方をたたみ廊下に囲まれています。
ベンガラ色の壁がとても綺麗でした。
先の「大鳳」の間とこちらの「孔雀」の間は本当に色が美しくて、
私のツボにどすんと入ってきた設えだったのですが。
こちらは3代目の持ち主である桜井兵五郎氏の時代に旅館となり、
そのルーツである金沢のデザインなどがベースになっているそうです。
そんなエピソードを聞いて、ますます金沢への思いは募り、
行かねば!…という旅への意欲がわき上がってしまったのでした。
ぐるりと敷地内の建物を見て回り、お庭も散策して、
かなりのいい時間になったので私は一足お先に帰りの列車へ。
息子の帰宅時間めがけて帰途につきました。
二日間で、とても沢山の情報をインプットして、
そしてまた、いつもオシャレで綺麗で若々しく、
素敵に年齢を重ねながら
活き活きとお仕事をされている先輩たちとも色々とお話ができて、
沢山のことを吸収できた旅になりました。
修学旅行みたいで、それもまた楽しかった。
お留守番していてくれた家族にも感謝しつつ、
またこれを糧に仕事へのエネルギーに変えていきたいなと思います。
素敵な企画を、本当にどうもありがとうございました。
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