02.建具のはなし

 

建具をちゃんと、つくるということ


スタジオノイデザインの特徴の一つである建具。
数々の内装材アイテムの中で、実はこの「建具をちゃんと計画すること」が、
デザイン性を大きく向上させる重要な要素であると考えています。
 
 

建具のはなし

建具の存在感と影響力


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上質な家具を越える存在感

内装材と言えば、床・壁・天井の素材にばかり目が向きがちですが、
建具というのは各室にほぼ1つ、ないしは2つ3つ設置されるもので、
実は工事費でのウェイトもかなり占める項目となります。
と、同時にその存在感と全体のデザインへの影響力は非常に大きいものになります。
私たちはその影響力の大きさを重く受け止めて、
一つ一つを丁寧に計画の中に盛り込むこととしています。

写真左) 組子細工の3本引戸。釘を1本も使わない見事な職人技。
     寝室に灯りを灯すと、この組子越しに光と影がリビングに漏れる。
写真右) 可能な限り引戸を使用して、室と室との境界線をなくす。
     少しレトロなデザインで、ノスタルジックに演出。


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天井いっぱいの格子引戸

ガラスの格子戸は、その両面に格子を入れてどちらの面から見ても美しい納まりとします。
重さが重くなりすぎず、且つ、天然木の材が反ったりしない部材サイズを検討しながらデザインしています。
無駄な枠やレールがなるべく目立たないようにしつつ、
開けた時も閉じた時も美しくなる納まりを考えて取り入れるようにします。


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ビストロの入口みたいに

家の全ての建具を製作ものとすると、コストも相当に上がることとなってしまいます。
全体のバランスを見つつ、メインのLDK入口ドア1つをデザインしたケースがこちらです。
玄関ドアを開けると、この天然木突板のドアが正面でお出迎えしてくれます。
我が家に帰って来たのに、「いらっしゃいませ」なんて声が聞こえそうなデザインのドア。
レバーハンドルなどの金物も、建具のイメージに合わせて選択しています。


 

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少々レトロで、和モダンな建具

全ての建具を製作ものとした場合の事例です。
デザインはそれぞれ部位によって違っても、色を部屋の床材に合わせてまとめることで、
全体に統一感がでます。
見事な職人の手わざが光る建具は、空間をぴりっと引き締めます。 


 
 
 
既製品もうまくデザインに取り込む
 
LDKの入口のみ、色とデザインに変化をつけた事例です。
その他の建具は極力シンプルに壁と同化させて存在感を消しており、
それによって一層この1枚の建具が際立ち、引き立つこととなっています。
チェッカーガラスの入った框の無垢建具は、既製品とはいえ存在感もデザイン性もあります。
コストを抑えつつも、イメージにあったデザインを実現するための一つの工夫としてご提案しました。

 
 
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ダイナミックな天然木の建具やシャッター

玄関扉に使用した、橡の木の木目がダイナミックなドア。
拭き漆風の仕上に似せた、耐候性のある塗装としました。
ガレージやその脇の扉も木製にすることで、ファサードに自然の表情を与えています。


  
 

さまざまな風合い

お施主様のご希望だった真っ赤な鏡面の収納扉。
形だけでなく色味や仕上げも考え抜いてデザインした柿渋風塗装の和室の障子、などなど。
派手になりすぎずあくまでも品よく、でも個性豊かなデザインを心がけて、
バランス感覚を駆使して独特の雰囲気のある世界観を醸し出しています。


 
 
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既成建具と製作建具との組み合わせ

壁面をL字型に覆う収納は、天井いっぱいまでの高さの既製建具を使用しました。
軽く可動しやすいもので、普段の頻繁な物の出し入れに対応しています。
一方部屋の入口の建具は、オリジナルでデザインした千本格子の引戸です。
格子が密なので通常の引戸に比べると重量が出ましたが、同時に存在感もかなりあります。
玄関入口のシューズインクローゼットはハンガータイプの鏡面フラッシュ扉。
それぞれに違うデザインではありますが、色や素材感による重さ軽さを配分して、
バランスよく全体がまとまるように計画した事例です。

上記の事例以外にも、非常にグレード感のある既存建具の場合はなるべくそれを残して、
上手くその存在感とグレード感を活かした形でインテリアをまとめたりもします。
コストとのバランスを見ながら、建具づかいを駆使することによって、
空間の上質感をより高められるように心がけて計画しています。