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江戸東京たてもの園
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  • 2014年8月17日
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小金井公園の更に奥には、

江戸東京たてもの園という、建築を生業としている我々には大変魅惑の施設があります。

江戸東京博物館の分館となっているこちらの施設には、

非常に貴重な文化価値の高い歴史的建造物等が移築・復元されています。

http://tatemonoen.jp

今回の散策は、こちらをちょっとのぞいてみることも目的の一つでした。

今は夏休み企画ということで、ジブリの立体建造物展というのも開催していて、

そちらにもすごい数の人々が集まっていたのですが、

確かに素晴らしいジブリスタッフたちのスケッチや模型を横目に、

人ごみが苦手な我らはそそくさと常設の外部建物展示の方へ…

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まずはこちらの常盤台写真場から。

なんだかこの佇まいからして、ワクワクしてしまいます。

2三井邸

こちらはその隣の三井八郎衛門邸の概要。

三井財閥の三井八郎衛門の戦後西麻布にあった邸宅を移築したものです。

これは、仕事柄見ない訳にはいきませぬな。

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お客様をもてなす1階の客間から

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外の自然を身近に感じる茶室のような間、と見所が沢山あります。

5引手

襖や戸襖の引手もどれも美しい。

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裁縫がご趣味だった奥様の趣味の間の襖と引手。

襖紙もキラキラしていて、それぞれの装飾がなんと繊細で美しいのでしょう。

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木材を受ける金物などなど、いちいち素敵で見入ります。

これは七宝なのでしょうか?

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二階廊下の天井とシャンデリア。

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こちらはバックヤードの厨房。

こちらでシェフが腕をふるった美味しいお料理を作って、

数々のお客様をおもてなししたのでしょうか。

古い建物は、その時代に思いを馳せながら、

どのようなドラマがそこで繰り広げられたのか、想像を膨らませるだけでも

どんどんイメージが膨らんで楽しめます。

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次に入ったのがこちらの小出邸。

堀口捨己の作品です。

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玄関の佇まい。

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910ピッチに入った格子が天井まで続いている客間。

銀色の壁とシックな色の格子がモダンな意匠です。

そしてこちらがメインのお部屋。

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この壁の色と建具の意匠。

「堀口捨己、なかなかやるな。感性があたしに近いぜ」

とブツブツ言いながら見ていたら、オットが呆れておりました。

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いやだって、この色合いは私の大好きな世界観ですもの。

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おそらく、私が提案しても刺激が強すぎてボツりそうですが、

堀口氏ほどの巨匠になれば、この色も巨匠のデザインかと

全て委ねてもらって実現ができるんですね。

これが、大物と小物の差…でしょうか。

どこかヨーロッパの香りも漂う日本建築の美しさがありました。

そして暑さもありくたびれてきたので、最後に入ったのがお隣のこちらの住まい。

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前川国男邸です。

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世田谷区役所を設計してくださったこちらも巨匠の住まい。

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もうね、この門構えからして普通じゃありません。

見事な大谷石の厚ものの目地が、ぴっと揃っている。

表札のシンプルでかつ美しいことよ。

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書斎と、オリジナルらしき照明。

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「うひゃ〜!A4とA2が仕舞える引出しだ〜!」

と騒ぐ建築士夫婦。

これ、欲しいです。

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トイレに、黒いモザイクタイル。

ダンディーな世界。

建具のノブも何気にカッコいい。

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建物奥のキッチンスペース。

輸入品みたいなレトロなコンロや冷蔵庫もかわいかったです。

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寝室脇のサニタリールーム。

この水まわりは、今の若い人だってカッコいい!と感じるはず。

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寝室。

日当りがよくて、落ち着く空間です。

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家具もそれぞれ、オリジナルでデザインされていました。

建物にしっくりと馴染んで品がよく、そしてとても寛げるデザインでした。

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伸びやかな吹き抜けのサロンスペース。

カメラではなかなかこの空間全体の伸びやかさは伝えきれていませんが。

 

 

とにもかくにも、

これら意外にも沢山の見応えのある建物が展示されている江戸東京たてもの園。

想像以上の充実ぶりに驚きました。

何度か通って、好きな建物の中で一日ぼーっと過ごすのも楽しそうです。

昔の人の設計の中には、勉強になるディテールも本当に沢山あります。

今の時代は、何かとコストダウンと時短と工業化で、

我々の仕事の進め方も、こういったディテールの詰めというものが甘かったり、

コストがかかりすぎるから削減されてしまったりすることも多いですが、

「ちゃんとつくる」ということを、こういう実物を見ることによって、

常に自分たちの引出しの中にとどめておきたいなと感じました。

この園は、そういった意味でも大変貴重な勉強の場にもなりそうです。

また、機会を見つけてこの日見られなかった部分もまわってみたいと思います。

建築の仕事に関係ない人でも、

これだけの様々な建物を見られるのはきっと楽しいのでは。

緑豊かな公園と一緒に、ちょっと楽しいお散歩にいかがでしょうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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